4回シリーズ記事の[1]です
ポイント
整理整頓が大切であることは、日本の企業文化では当然のように受け入れられています。
しかし、情報の整理整頓に限って言えば、IT技術による力業の検索が可能である現代において、人力で整理整頓にこだわる理由は見当たりません。
本連載では、ファイルサーバの文書データ整理について、何が「無駄な整理整頓」で、何が「必要な整理整頓」かを明らかにします。
ファイルサーバの整理整頓は本当は不要か?
ファイルサーバ管理者さん共通の悩みとして、繰り返し耳にするのは
「ファイルサーバの整理整頓ができない。どうすれば整理整頓できるだろうか?」
という質問です。
検索エンジンのメーカーとして、一言申し上げますが、
「必要な情報が必要なときに見つかるのなら、ファイルサーバの整理は不要」ではありませんか?
インターネット検索エンジンとして世界的に成功しているGoogle社は、
「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」
と表明していますが、そのために世界中の人に整理整頓の手間を強いることは一切ありません。
すぐれた検索技術は、人手による整理整頓の必要性を無くすものであると、私達も信じています。
「整理整頓は時代遅れです」というタイトルは、ユーザを沢山「釣る」ために誇張しています。
最低限の整理整頓はもちろん必要ですし、前回のシリーズ「ファイルサーバ整理術」では
アクセス権の付与の方法やフォルダ階層の設計など、その点について記述したつもりです。
しかし、日本の企業文化においては、整理整頓に対する信仰が強すぎるため、
必要以上にファイルサーバ上の文書データを人力で整理しようとするユーザが多すぎると感じています。
整理整頓信仰が強い日本の企業文化
現在、多くの日本企業では、特に製造業を中心に「トヨタの片付け」に代表される、整理整頓を重視する企業文化が根強く定着しています。
整理整頓ができないことは、イコール「だらしない」と考えられ、無条件に批判される傾向があります。
実際のところ、私自身は教科書どおりの整理整頓が大好きであり、片付け教の熱心な信者でした。
電子メールの受信トレイに、何十ものサブフォルダを作成して、毎日百通以上届くメールを
手作業や自動振り分けルールで分類していたものです。
しかし、ある時自分より若いGmailユーザからこう言われたのです:
「検索すれば見つかるものを、整理する手間は無駄です」
確かに、ITの力を借りれば、受信トレイ何十にもフォルダ分けしなくても、キーワード検索だけで目的のメールが見つかるのは事実です。
ITが人間の代わりに仕事をしてくれるなら、人が手間暇をかける必要がなくなります。毎日何百通ものメールをフォルダに分類する必要がなかったことになります。
「検索して見つかるんだから、整理するだけ無駄です」と言われて、反論できない自分がいました。
それ以来、私も考えを改めて、検索エンジンメーカーの立場から、お客様に「検索エンジンを上手に使えば、整理整頓しなくても必要な文書が見つかるのなら、整理に工数をかけるのは無駄ですよね?」と、心の底からいえるようになりました。
「整理整頓は無駄である」と書いた記事を掲載することで、弊社としても会社の信用を落とすことになりはしないか、私自身が整理整頓のできない社会人失格者とみなされはしないかと、少し誤解されるリスクを感じておりますが、これはファイルサーバ/文書データに限った整理整頓に関しての表明であり、一般的なモノについての整理整頓を否定する意図は全くありません。物理的に散らかった現場で仕事したいなんて、これっぽっちも思ってはおりませんので、ご了承ください。
整理整頓の大切さは否定しましせんが、その重要度は絶対的なものではなく、時代や状況に応じて変わる相対的なものではないでしょうか?