従来の会議や口頭による対面型コミュニケーションは、当事者双方の都合をあわせる必要があり、タイミングがあわないとズルズルとコミュニケーションが遅れてしまうという問題点を持っていました。

電子メールやグループウェアに代表される非同期コミュニケーションは、伝言を直接相手に伝えないかわりに、データベースや紙などのメディアに書いて伝達するため、お互いが都合のよいときに、新着情報をチェックできます。この場合、情報の受け手側が新着情報を頻繁にチェックする習慣があれば、結果として情報の伝達が早くなります。すでに電子メールやグループウェアは、さまざまな企業の日常業務になくてはならないものでしょう。

電子メールは、個人対個人でのコミュニケーションツールとして有効ですし、グループで共有すべき情報についてはグループウェアによって共有するのが効果的です。これらの用途については、現存する電子メールとグループウェア製品によってある程度実現できますが、目的に合った使い分けと動作の連携について、今後一層の改善が望まれます。例えば、以下にあげるような改善テーマがあるでしょう。

電子メール・グループウェアと書類との連携

書類による定期的な報告は、今でも欠かせません。電子メールは個別の情報の伝達にはすぐれますが、大局的な状況の要約を伝達するのには向いていないため、Excelワークシートによる一覧表作成や、パワーポイントによるプレゼンテーションが不可欠です。特に、現場リーダーがマネジメントに対して行なう報告について、書類作成は必須です。

進捗報告や課題検討のための会議が毎週のように行なわれる場合、現場リーダーは毎週数時間を書類作成に費やしているはずです。少なくとも、一覧表の作成については、システムに登録されたデータからの自動生成の仕組みが構築できれば、電子メールやグループウェアから情報を転記してExcelワークシートを作る時間が節約できるはずです。

電子メールとグループウェアの連携

電子メールは速報性にすぐれますが、情報を蓄積して管理するには適しません。そこで、フローの情報(一時的に対応が終わる情報)については電子メールで処理し、ストックの情報(一定期間蓄積して、管理すべき情報)についてはグループウェアに登録するのが効率的です。

残念ながらまだまだ多くの組織ではグループウェアが十分に活用されておらず、電子メールのメールボックスにストックの情報が混在することが多いのが実状です。読んだその場で対応する余裕がなかったメールが大量の新着メールに埋没して忘れられる危険が、放置されているといえます。

グループウェアの活用が普及しないのは、利用目的に応じたグループウェア環境の構築が難しかったからではないでしょうか。目的別にもっと判りやすいグループウェアを提供し、状況を改善する必要があると、私たちは考えています。