おかげ様で、東京オリンピック開催の今年7月、鉄飛テクノロジーは創立満20周年を迎えます。
この会社を通してやりたかったことは、(創業理念に書いてある通り)今も変わりません。まだまだ終わりなき道だと思いますが、私たちなりのやり方の文化というものは、いつの間にか出来てきたように思います。これがいつまでも続くのか、変わっていくのか、それも楽しみです。
データでもロジックでもないモノづくり
20年前に会社を設立した動機は、全く合理的なものではありませんでした。
明治生まれの私の曽祖父たちが発明家兄弟として事業を起こし大正時代に自動織機を並べた工場を経営していた、という昔話をしてくれた祖母を亡くしたのがきっかけで、サラリーマンを辞めて家事手伝い兼発明家をやろうと思い立ったのが1999年の7月のこと。恐怖の大王は来ませんでしたが、没落した実業家一族のDNAに百年ぶりに再起のチャンスがめぐってきたのです。
当時コンサルタントとしてお客様のITプロジェクト企画などに関わっていた私は、常に「データに基づいて、ロジックを組み立てて、あるべき道筋を示す」という仕事の毎日でしたが、理屈抜きでソフトウェアプログラミングに没頭することを2年ほど離れた禁断症状と、思い通りの答えが出せないストレスとで、すこしおかしくなりかかっていました。
企業はどう進めばよいのか?私たちはどう生きればよいのか?
それって、データを集めれば論理的に導き出せるようなものでしょうか?
いまの私は、そうは全然思いません。
客観的な「状況」から物理法則のように厳格なロジックによって最適な「答え」が見つかるというよりも、わけのわからない人間の感性に発する「思い」が出発点となって世の中が動く方が面白いと、やはり思うのです。
コンサルタントの仕事というのも、お客様のキーパーソンの「思い」を実現するという目的が最初にあり、そこにいたる「道筋」をロジックで組み立てるために、都合の良いデータを「材料」として探すことの方が多いものです。若かりし頃の自分にとっては、お客様が「答え」を求めていないことを受け入れるのがストレスでしたが、それでもまあ、いいではありませんか。
欲しいから作る。それで人を助けられたら嬉しい。
組織から独立し、自分でモノづくりを始めてからというもの、鉄飛テクノロジーでは、お客様の要望する機能を常に付け加えながら製品を改良してきましたが、どんなときも「自分たちが欲しい製品」という軸からぶれることはありませんでした。
欲しいものを作る。できた物で困っている人を助けたい。それで生活できることは本当にありがたいことだと感謝しています。しかし、私たちのような少人数の開発チームにとって、自分たちが日常的に使いたい機能を優先的に実装するということは単なるワガママではありません。自分たちが使い続ける機能は「作って売っておしまい」になることはなく、継続的に改善しつづけることができます。お客様の声も大切ですが、それに先回りできるぐらいに自分たちの感性を研ぎ澄ますことができないと、振り回されてしまいます。原則として欲しいものを作ることは、将来にわたってサポートし続ける責任を果たすためには、むしろ必然ですらあるのです。
売って売りっぱなしの売り逃げ製品は、みんなを不幸にするでしょう?
丸(〇)の数より二重丸(◎)にこだわります
私たちの製品は、お客様の要望を取り入れてきた結果として多機能ですが、機能比較表の丸の数を増やすためだけに実装した機能はありません。それよりも、一つの機能の丸を、二重丸そして三重丸にすることができないかと、いつも模索しています。こんなところに労力をつぎ込むのは、私たちがたった一つの製品を十何年もかけて何百ものお客様に売っているパッケージソフトウェアメーカーとして、一つの機能の改善で喜ぶユーザが何万人もいると知っているからです。
パッケージ製品の魅力は、こだわりが報われる、そこにあります。
セキュアなリモートワークの実現に向けて
私たちの製品(FileBlog)は、主に企業組織内の大量のストック文書を検索・整理・参照するために使われてきました。お客様の大切なデータ資産を万が一にも壊してはいけないというリスク回避の考えもあって、弊社製品は原則としてファイルを「読み取り専用」でアクセスしてきました。
Webブラウザを介してファイルを検索・参照したいというお客様のニーズの延長線上には、「Webブラウザ上でファイルを編集できるようにして、インターネット上のどこからでも社内同様の作業環境を実現したい」というニーズがありますが、これまで私たちは本気でWebリモートワーク環境の実現と向き合っては来ませんでした。
その理由は、第一にOffice文書をWeb上でオンライン編集する適当な技術が未成熟であったこと、第二には必要なセキュリティをどう担保するかの迷いがあったこと、そして何よりデータを更新する機能を提供することへの恐怖でした。
これからの数年間、私たちはこの恐怖を克服し、逃げていたセキュリティ対策と正面から向き合い、最新のオンラインオフィススイートとの連携を実現して、Web上での安全なリモートワークを誰もが現実的なソリューションとして身近に感じられるようにしたいと思います。
では、一緒に楽しい未来を作りましょう。