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導入前の課題

以前より製品製造を総合的に管理するPLMシステムを使用しており、システムから出力される指示書をもとに製造を進めています。指示書にはシステムに登録されている情報と、あとから手書きで追記される情報があります。指示書は責任者の承認を経て製造工程で使用され、1回の使い切りではなく同じ製品の製造には同じ指示書を使用します。指示書はあとから何度も使用するため、適切な保存管理が求められます。

指示書はPLMシステムから個別に割りあてられた管理番号で整理して、バインダーに綴じ、マスタとして書棚に保管しています。製造担当者は製造指示を受けると、書棚のあるフロアに向かい、管理番号をもとに指示書を探しだしてコピーし、それを製造現場に持ち出して製造を開始します。その一連の動作を1日に何度も行います。

しかし、長年にわたり蓄積されてきた指示書の数は膨大になり、整理はされていても管理番号1つで目的の指示書を探すのにベテラン担当者でも時間を要するようになってきており、生産性への影響も懸念されていました。そこで、生産性の維持・向上を目的に業務効率を改善するため、紙文書を基本とする業務の改善に着手しました。紙の指示書の継続的な増加は、将来の文書保管・保全の課題でもあります。

 

FileBlogに決めたポイント

操作性、システム構築の容易さ、導入から運用までの全体的なコストが「FileBlog」を導入する決め手になりました。

はじめに、製造現場にいながら指示書を手元に入手できるような方法を検討しました。製造現場と書棚との行き来をなくすことと、必要な指示書を素早く手にできるようにすることです。指示書を電子データとしてコンピュータに取り込めば、ネットワークで接続されている現場のPCから閲覧できるようになります。大量の指示書ファイルから目視で探すのは厳しいため、キーワード検索でファイルを見つけられるようにすることで時間短縮になります。

次に、紙の指示書を電子データ化する方法の検討です。データ化は複合機のスキャン機能を使用し、PDFファイルに変換して保管するようにしました。しかし、スキャンするだけでは連番のファイル名になるだけで、ファイル名を見て判断することも、キーワード検索もすることもできません。そこで、サードパーティ製のOCRソフトを使用して、指示書紙面の管理番号や製品型番などが記載されている特定箇所のテキスト抽出を正確に行い、PDFファイルにテキスト情報を付加できるようにしました。

全体的なコストの抑制も検討しました。システムについては、初期コストはもちろん、ユーザー・管理者の双方にとって簡単であることが大切です。システムの継続性・持続性は、いかにユーザーにシステムを使用してもらい、容易に低コストでメンテナンスができるかが重要です。ユーザーに難しいシステムは時間経過とともに使われなくなり、メンテナンスが難しくコストのかかるシステムは直ぐに見直しの対象となります。このことから、PDFファイルの保管先は専用DBシステムではなく、汎用のファイルサーバーを使用し、検索システムには複数の候補製品からFileBlogを選択しました。FileBlogはWindowsエクスプローラのような操作感でとても使い易く、コスト抑制に十分に貢献できる費用で導入可能です。

データ化作業については、既存の指示書と今後出力されるものとでデータ化するルールを少し変えました。既存文書については、ファイルサーバーに年月別のフォルダを作成して、発行日付をもとに該当フォルダに振り分けて保存します。ファイル名は自動でつけられた連番のままで、属性情報も付加しません。既存の指示書はOCR処理にて付加されるテキスト情報で検索できるようになります。これからの指示書は、スキャン時に必要情報を入れたファイル名に変更して該当年月のフォルダに保存します。既存指示書と同じくテキスト情報で検索でき、ファイル名でも検索できるようにしました。

大量の紙文書のデータ化作業では、スキャン時のファイル名変更や属性情報付与の作業に最も労力が必要で、それにはとても大きな時間と費用を要します。OCR処理で検索できるようになるのであれば、ファイル名が連番でも属性情報がなくとも問題ありません。最低限、年月別のフォルダに分けることで、万一、OCR処理のテキスト情報付与に失敗があったときや、検索システムが使用できない時でも見込みをつけて探せるようにしておくことで、データ化作業のコストを抑制できます。これからの指示書については、スキャン時のファイル名変更をルーティン化すればよいので、コストについてはそれほど考える必要はありません。

 

利用イメージ

データ化してファイルサーバーに保存した紙の指示書を、製造現場からFileBlogに接続して検索・閲覧します。

導入効果

システム導入後、製造現場のPCから指示書ファイルをキーワード検索で簡単に探せるようになったため、保管フロアへの移動やバインダーから指示書を外してコピーするなどの動作がなくなり、作業効率が改善されました。今後、Wi-Fi環境も整えて、タブレットで指示書を検索・閲覧できるようにする検討も始まりました。紙からデータになったことでバックアップが容易になり、文書の保全性も大きく向上しました。今まで書棚として使用していた場所は、自由に使用できるフリースペースとして活用できるようにして、ちょっとしたリフレッシュやコミュニケーションに役立てられればと考えています。

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