ポイント
海外建設プロジェクトを計画・推進する建設コンサルタント企業。ネットワーク環境が貧弱な海外・僻地の現場とのファイル共有のアクセス性能は悩みの種でした
Eメールに依存しないファイル共有のしくみとして、FileBlogを導入し、現地から本社ファイルサーバへのアクセスが快適になりました。
導入前の課題
道路・交通、治水・水資源、上下水道・エネルギーなど、社会に欠かせないインフラ環境の整備の計画・推進を行う建設関連企業。僻地でのプロジェクトが多く、特に海外プロジェクトでは、情報インフラの未整備・未発達な地域と国内本拠地との情報共有に苦労します。
プロジェクトは、現地調査から始まり、計画・設計、工事の監理を行い、工事完了後もモニタリングやサポートを継続し、持続的に運用できるように支援も実施します。そのため、現地と本拠地との長期間にわたる連携および効率的な情報共有が欠かせません。
現地駐在の担当者や短期出張者は、本拠地とEメールを軸に情報共有していました。しかし、通信が可能な場所が限られていることに加え、回線が細い・不安定、送受信可能なデータ容量の制限、セキュリティ、時差など様々な制約があり、迅速な共有を行えません。
そこで、少しでも円滑な情報共有ができるように、Eメールに依存しない情報共有の仕組みを検討します。現地からでも移動中でも、担当者が情報に直接アクセスできるような環境の構築を図ることになりました。Eメールの代替となる仕組みとして、まずクラウドのストレージサービスを検討しましたが、長期間のプロジェクトではデータ容量は膨大になり、プロジェクト毎にサービスを契約すると情報の一元管理も難しくなってしまうため、クラウドサービスの利用は検討から外れました。
次に、本社管理のファイルサーバーに直接アクセスできる仕組みを検討しました。担当者のPCや現地設営の事務所とのVPN接続を検討しましたが、通信インフラが未整備なところでは、プロジェクト当初から安定した通信環境を構築することは難しく、また本拠地内のネットワークへの侵入が容易になってしまう環境は安全性に問題があります。安全性を考慮し、通信安定性にそれほど影響を受けず、かつ接続先をファイルサーバーに限定した方法を探した結果、ファイルサーバー共有システムとしてFileBlogを導入することになります。
FileBlogに決めたポイント
はじめは、PC等の端末からWeb接続でファイルサーバーにアクセスできるDocPlugから検討を開始しました。インターネット接続でWebブラウザを通してファイルサーバー内のファイルにアクセスでき、ファイルの閲覧やダウンロード・アップロードができるシステムです。
DocPlug無償版を試行したところ、Webブラウザの画面でWindowsエクスプローラのようなファイル操作が実現できました。Web画面でファイルの全ページが閲覧でき、ファイルをファイルサーバーにアップロード・ダウンロードすることもできます。これなら、インターネットに接続できれば、いつでもファイルの閲覧・更新ができます。
検討を進めていくうちに、円滑にプロジェクトを推進するにはファイルへのアクセスだけでなく、ファイルの検索も必要だということになりました。プロジェクトが進むにつれてファイル数は膨大になっていくので、簡単にファイル検索できるのはとても効率的です。そこで、FileBlog評価版も試したところ、DocPlugと同様にファイルサーバーにWebブラウザで接続してファイルの操作と閲覧ができ、加えてファイル検索もできます。ファイル名の検索はもちろん、ファイル内容の全文検索、フォルダ名の検索も可能です。プロジェクトでは、特に写真データが大量になるため、フォルダ分けして、フォルダの属性に説明をつけておくことで、あとからの検索・整理に便利です。また、本拠地側でもファイルサーバー検索で業務の効率化が図れます。
FileBlogによって、Windowsエクスプローラのような操作性で外部からファイルサーバー内のファイルを自由に更新したりダウンロードしたりできるのは実用的ですが、安全性を損なう恐れもあります。その対策としては、接続元のユーザーアカウントやIPアドレスによってアクセス権を分け、更新系機能(上書き、削除など)とダウンロード機能を制限してファイルの検索と閲覧だけに操作を絞り、ファイルの書き換えや消失、流出を防止するというようなセキュリティを考慮した運用も可能です。
利用イメージ
導入効果
FileBlogを活用するにようになってから、情報共有のスピードが向上し、共有できる情報量も増えました。ファイルサーバーのWeb共有により時差などの時間的制約がなくなり、インターネット環境さえあればどこでも利用できるので場所的制約もなくなりました。検索機能で自らファイルを探せるので、人的制約もとても軽減されました。現地から本拠地への直接的なデータ保管はデータの保全性を高め、現地でデータ消失が起きたとしても影響を小さく抑えられるようになり、プロジェクト推進の安定性も高まりました。