4回シリーズ記事の[1]です
ポイント
建設・不動産・設備製造などのビジネスでは、建物・物件に関連した図面や現場写真などの書類を比較的長期間にわたって保存し、折に触れて検索する必要があるでしょう。印刷・デザイン業界のDTPデータや素材データについても同様です。
大量データの長期保管が得意なファイルサーバを丸ごと検索対象とするだけで、データ移行・登録の手間なしに、コストパフォーマンスに優れた文書管理システムが構築できます。
はじめに
私達はファイルサーバ全文検索と文書管理の製品「FileBlog」を開発・販売していますが、お客様の7割以上が汎用のファイルサーバ全文検索で利用しています。例えば何千万という大量の文書を数十テラバイトのファイルサーバに貯めているお客様が、その中から必要な文書を力ずくで探すための検索エンジンとして使うケースです。
一方で、1割程度のお客様は、汎用のファイルサーバではなく、特定業務・特定種類の文書だけを管理してWebブラウザでアクセスするために使っています。「図面管理システム」や「物件管理システム」などの名称が付いて利用されており、対象の文書の種類や利用目的が限られています。検索のパターンも限定されているので、フォルダ階層も整理整頓しやすいという特徴があります。
そのため、いわゆる文書管理システムとの比較検討になることも多いのですが、ファイルサーバ全文検索システムが選択されるのは、案件・物件・顧客などの業務上の管理単位で、かなり大量の添付ファイルが存在する場合です。
最も多いのは、建設会社や不動産会社などが持っている物件データで、数万物件分の図面や過去数十年分のメンテナンス履歴などが保管されている物件IDごとのフォルダが多数あるといったケースです。また空調設備や電気設備などの建物付帯設備メーカー、ガス会社なども現場写真や施工図面を物件IDごとに管理していて同じような使われ方をしています。
本文書では、案件/物件などの業務対象単位にかかわる大量文書の保管にファイルサーバを利用し、案件フォルダの検索性を上げるために検索システムとしての「FileBlog」を活用されている事例について、紹介します。
ファイルサーバの汎用性を活かす検索・文書管理
そもそもファイルサーバは、何でも保管できるが何にでも向いているとは言い難い、という特性があります。この特性を踏まえたソリューションがファイルサーバ全文検索をベースにした文書管理であるといえます。
ファイルサーバはなんといっても、大量データをかなり深い階層に分離して長期間運用するのに向いています。ただし、文書のステータス管理やワークフロー管理、バージョン管理といった厳格な保管ルールが必要な文書管理には不向きです。ファイルやフォルダに複数の属性を付けて様々な切り口から検索するような使い方にも向いていません。こうした用途には、特定の文書種類に限定された文書管理システムが選ばれるケースが少なからずあります。
しかし、ファイルサーバ全文検索システムによって、こうした苦手な部分を補完してファイルサーバを活用した文書管理システムを構築することが可能です。
たとえば当社のFileBlogを使うと、ファイルとフォルダに複数の属性を付与できるので、属性検索・全文検索・フォルダ検索を併用して素早くファイルを見つけることができます。バージョン管理やワークフロー管理は相変わらず苦手ですが、大量文書の長期保管が得意なファイルサーバにファイルを保存しつつ、高速なアクセスが実現できるのです。
つづき [2] 文書管理におけるファイルサーバのメリットと課題