ポイント

東京地下鉄株式会社(以下「東京メトロ」)の車両部は、現場社員に対する技術教育や現場作業における技術資料の検索などを行う情報共有システムを FileBlog で構築しました。東京都内の 12 車両基地で活用が始まっています。この車両部の取り組みは全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環でもあり、教材や技術資料のペーパーレス化を推進するとともに、教育や作業の効率化を図ります。

次世代への技術伝承と教育のデジタル化

都心部を中心とした 9 路線の地下鉄道ネットワークを運営する東京メトロでは、約 2,700 車両を所有しており、その設計・保守・その他の管理業務を鉄道本部に属する車両部が担っています。車両部の社員のほとんどは車両基地の現場で働くエキスパート職です。車両保守のノウハウはベテラン技術者が経験値として保持していることが多く、これらの貴重な知識や技術の属人化を解消し、いかに形式知として次世代へと伝えていくかが課題となっていました。

こうした技術伝承の課題を解決するため、車両部独自のカリキュラムを整備し、若手社員の教育に取り組んできましたが、教材の用紙の量も問題となりました。環境への配慮は、全社的な経営課題でもあります。車両部 車両課 総合車両システム担当 課長補佐 中島正貴氏は次のように話しています。「図面や部品画像などが多く含まれるためページ数も多く、教材で使う用紙は例えば 20 人が参加する 1 回の長期の集合研修で 1 万枚にのぼることもありました。会社全体としてペーパーレス化の流れは明確で、新しい時代に対応するためのデジタル化も推進しています。車両部としても早急に対応する必要がありました」

ファイルのダウンロード禁止とファイルへの書き込みの両立が要件

車両部における教育のデジタル化の要件は、教材をダウンロードすることなく iPad に表示して、その教材に自由に書き込みができることで、情報漏洩防止と学習効果・理解度向上の両立が求められました。この要件を満たす製品として選ばれたのが FileBlog です。

「LMS(学習管理システム)や Microsoft SharePointなどのファイル共有サービスを検討しましたが、教材のダウンロードを禁止すると書き込みができない、または書き込みを可能にするにはファイルをダウンロードして表示するしかないという、どちらか一方の要件しか満たさないことがわかりました。我々の要求に応えてくれる製品は FileBlog だけでした」(中島氏)

現在、多数の講座が用意されており、ベテラン技術者が講師となって授業を行います。教材は講座ごとのフォルダに保存され、講師は授業用の PC から FileBlog にアクセスして教材を開いて説明を行い、受講者は iPad でアクセスして教材を表示し、マークしたり文字を書き込んだりして学習します。「FileBlog へのアクセスは、ファイルサーバに設定されたActive Directory のアクセス権限を何の設定もなくそのまま引き継げるので、運用管理の点でも非常に有効でした」(中島氏)

保守作業中に iPad から即座に図面にアクセス

この iPad と FileBlog を組み合わせたシステムは、技術教育のほか、車両基地における保守作業での資料検索にも活用されます。これまで作業中に図面などの参照が求められる際には、現場から離れた事務所に資料を取りに行く必要がありました。たとえば車両の配線図を確認する場合、資料は一車体の図面だけで背幅 10cm のバインダー2、3 冊分になることもあります。

そうした手間は FileBlog の導入により解消され、作業現場で iPad を使って即座に資料を検索・参照することが可能になりました。この効果について、車両部 車両課 総合車両システム担当 舟山紀之氏は次のように話しています。「FileBlog の導入は現場における iPad 活用の圧倒的な解決策を提示してくれました。その場で調べものができるので、問題に対するレスポンスと作業効率の向上が期待できます」

また、車両部の業務文書が保存されている部門ファイルサーバの検索にも FileBlog が利用されており、全文検索で目的の文書を見つけやすくなった、サムネイル表示で文書の内容が大まかに確認できて便利、などと好評です。統合 Windows 認証により、PC にログインしているユーザーはブックマークを開くだけで FileBlog にログインできる、シングルサインオン環境の構築も予定しています。

取材協力をいただいた車両部のみなさん


東京地下鉄株式会社
www.tokyometro.jp
本社:東京都台東区東上野 3-19-6
事業:
    1. 旅客鉄道事業の運営
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